武者小路実篤「愛と死」

時代をこえてよみつづけられる小説とそうでない小説がある。ウォーキングをしながら「愛と死」をきいていた。許嫁が最後にスペイン風邪でしんでしまう話である。コロナウイルス風邪がひろがっているときに、スペイン風邪の話がでてきた偶然をおもしろくおもった。

隅田川ぞいをあるきながら、この「愛と死」をきいていたのだが、ちょっときれいごとすぎて、共感できなかった。リアルタイムでこの小説をよんでいたひとは、この話を、共感をもってよんでいたのだろうか。あかるく活発で宙返りが得意な主人公に「べたぼれ」の18歳の許嫁の描写に、私はすこし辟易しながらウォーキングをつづけていた。1939年に『日本評論』に発表されて、現在は2021年だから80年前の小説である。

 

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