宇野ちよ「おはん」を きいて

散歩するときに音楽をきいたり、落語をきいたりしていた。最近は朗読をききながら、あるくことがおおい。藤岡琢也がよむ「おはん」をきいたので感想をひとつ。読書ではまずよまない小説だったはず。CDも中古品しか販売していないだろう。

女性のかいた小説だが、男性の感情のゆらぎや本能、理性では制御できない行動を、みごとに表現している名作だとおもう。

しかし、わかいころによんだ(きいた)としたら、字面ではわかっても、ふかい感情的なものはわかりにくい話だ。すくなくとも四十歳はこえないと理解できないのではないか。複数の異性との関係、感情を矛盾なく実感できるようになるには、それなりの時間が必要だとおもう。自分がそれなりの年齢になったから、こんな感想がわいてくるのだろう。

 男がかたる関西言葉も味がある。藤岡琢也の語りも、ききいってしまった。さすがプロフェッショナルだ。